チェスターNEWS -2016/02/23-
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アメリカの相続税の納税義務者は「被相続人」

アメリカにも日本の相続税に相当する税金である「米国遺産税」と言うものがあります。
この米国遺産税を納税する必要のある納税義務者について解説します。
日本では、納税義務者は相続財産を取得する側の相続人ですが、アメリカでは納税義務者は「被相続人」となります。ちなみに、贈与税においても日本では納税義務者は財産をもらう側の受贈者ですが、アメリカでは逆で財産を渡す側「贈与者」が納税義務者となります。
1.納税義務者の種類によって課税財産の範囲が異なる
アメリカの相続税(米国遺産税)の納税義務者は、被相続人ですが、その被相続人が次のうちどれに該当するかでアメリカの相続税の課税対象になる資産の範囲が異なります。
1-1.被相続人が米国市民・米国居住者の場合
米国市民とは、アメリカに市民権がある者のことを言います。実際にアメリカに住んでいなくとも米国市民の可能性はあります。
また米国居住者とは、アメリカに本拠地を置いている者のことをいいます。なお、グリーンカード(永住権)を持っているからといって必ず米国居住者に該当するとは限りませんので注意が必要です。
被相続人が米国市民・米国居住者の場合には、アメリカにある財産だけではなく、被相続人が世界中で保有する相続財産についてアメリカの遺産税の課税対象となります。
1-2.被相続人が米国非居住者の場合
米国非居住者とは、読んで字のごとくアメリカに住んでいない者のことを言います。
なお、上述の米国市民及び米国居住者以外の者が該当します。
被相続人がこの米国非居住者の場合には、アメリカにある財産のみがアメリカの遺産税の課税対象となります。
2.日本とアメリカでそれぞれ「納税義務者」の判定が必要な場合
同一の相続で、日本とアメリカでそれぞれ「納税義務者」の判定が必要な場合も考えられます。その場合、日本と米国の間には「日米租税条約」が結ばれており、ルールがきちんときまっています。
「納税義務者」の判定においては、各国の法律に基づいて判定することとなっています。
つまり、日本の相続税申告においては日本の法律に基づいて納税義務者を、米国の遺産税申告においては米国の法律に基づいて納税義務者を判定することとなります。

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