チェスターNEWS -2013/06/25-
さまざまな税についてのニュースを発信いたします。
共有物分割について
相続等で、よく共有持分で不動産を取得することがあります。
後日、共有地の分割が行われた場合には、税務上の取り扱いはどうなるでしょう。
共有物分割は持分に応ずる権利が集約されたにすぎず、資産の譲渡や取得による収入(土地の値上がり益による利益の享受)等があったと見られないため、譲渡所得税も課せられません。また、登録免許税も優遇を受けられるうえ、不動産取得税は課せられません。(一定の場合を除きます)
詳細は以下の通りです。
(1)所得税の取扱い(所得税基本通達33-1の6)
『共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う』
AとBが甲土地(500㎡)をそれぞれ1/2ずつ所有している場合、その土地を1/2に分けて分割して取得するときは、譲渡所得税は課せられません。
ただし、実際に共有物分割を行う際の分割方法には、注意が必要です。
土地の分割は、単純に面積比で一致しているかどうかではなく、分割後の土地の時価の比が共有持分におおむね等しいかどうか、判断が必要となります。
上記の例で、共有物分割を行う場合に、500㎡の土地を単純に250㎡になるラインで分筆線をひいたとしても、分割後の土地の形状等でAとBの取得するそれぞれの土地の時価が大幅に異なってくる場合もあります。
分割後の時価の比が持分に応じていない場合には、譲渡所得税の問題や贈与の問題が生じてきます。
(2)登録免許税・不動産取得税
登録免許税については、共有物分割を原因とする移転登記は、原則20/1000(通常の売買による所有権移転登記と同じ)ですが、一定の場合(※)に限り、登録免許税は4/1000となります。
※共有物分割の登記申請前に分筆登記をした土地で、かつ、分筆登記で生じた他の土地と同時に申請された場合には、共有物分割による持分移転登記の前に有していた持ち分に応じた土地の価額に対応する部分にのみ、上記の適用があります。
不動産取得税は、共有物分割による不動産の取得には、課せられません。ただし、分割前の持ち分を上回る部分の取得があった場合には、不動産取得税の対象となってきます。
共有物分割を行う際には、税金で優遇が受けられる部分が大きいですが、分け方を間違えてしまうと税金が発生してきてしまうので、専門家に相談しながら進めていきましょう。

【次の記事】:区分所有建物の小規模宅地等の特定について
【前の記事】:不動産管理会社を一般社団法人とした場合