チェスターNEWS -2016/12/19-
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相続税の海外資産調査が3年連続増加、859件に!

平成27事務年度における相続税の実地調査件数
平成28年11月、国税庁は「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」を公表しました。
相続税の実地調査の件数は、平成27事務年度で11,935件となり、平成26事務年度の12,406件と比べて3.8%減少しています。
一方、相続税の海外資産関連事案に係る実地調査件数は3年連続で増加しており、平成27事務年度の調査件数は859件と、集計を開始した平成13事務年度以降で最も多くなっています。
海外資産関連事案とは
海外資産関連事案とは、主に下記のいずれかに該当する事案のことをいいます。
①相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの
②相続人、受遺者又は被相続人が日本国外に居住する者であるもの
③海外資産等に関する資料情報があるもの
④外資系金融機関との取引のあるもの
海外資産関連事案に係る調査事績の推移
H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | |
海外資産関連事案に係る実地調査件数 | 741件 | 721件 | 753件 | 847件 | 859件 |
海外資産に係る申告漏れ等の非違件数 | 111件 | 113件 | 124件 | 112件 | 117件 |
海外資産に係る申告漏れ課税価格 | 72億円 | 26億円 | 163億円 | 45億円 | 47億円 |
海外資産関連事案に係る実地調査件数が増加していることから、税務当局は納税者の資産運用の国際化に対応し、海外資産について積極的に調査を実施していることがわかります。
今後の展望
平成29年1月からCRS(共通報告基準)による金融口座情報の自動的交換制度が導入されることにより、税務当局は日本居住者の海外の金融口座情報を容易に把握できるようになります。そのため、海外資産関連事案に係る実地調査件数がさらに増加していくことが予想されます。
日本国内に相続財産がなくても、相続人が日本に居住している以上は海外の財産についても日本の相続税が課税されますので、今後は海外財産を網羅的に把握することがより重要になっていきます。

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