チェスターNEWS -2017/02/07-
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平成29年度税制改正大綱情報 ~非上場株式の評価方法の見直し~

平成29年度税制改正大綱において、「相続税等の財産評価の適正化」として、取引相場のない株式(非上場株式)の評価の見直し案が発表されました。
1.現行制度における非上場株式の評価
現行制度における非上場株式の評価方法において、同族株主等として原則的評価を行う場合、会社の総資産価額、従業員数、取引金額(売上金額)に基づいて「①大会社」・「②中会社の大」・「③中会社の中」・「④中会社の小」・「⑤小会社」の五つに区分され、それぞれに評価方法を定めています。

「純資産価額」とは文字通り、会社の純資産価額を基にした評価です。
一方「類似業種比準価額」とは、類似業種の上場会社の株価を基にした評価です。
一般的に業績の良い会社については、「純資産価額」を基に評価した金額よりも「類似業種比準価額」を基にした評価のほうが低くなる傾向にあるため、会社規模が大きいほど有利であると言われています。
類似業種比準価額の計算は以下の二つの要素により構成されています。
①1株当たりの比準価額
・課税時期に属する月
・課税時期の属する月の前月
・課税時期の属する月の前々月
・前年平均株価
のうち最も低いものとされており、株価の変動が大きい場合には、その課税時期によって、評価額に大きな影響を与える場合があります。
②1株当たりの年配当金額・年利益金額・純資産価額の比準割合
年利益金額が3倍の金額で計算されるため、業績の良い会社については、評価額に大きな影響を与える場合があります。
2.改正案について
改正案については、「相続税法の時価主義の下、実態を踏まえて、次に見直しを行う」として、以下の項目が挙げられています。
・類似業種の上場株式の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
・類似業種の上場株式の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする。
・配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする。
・評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。
上記の改正が行われた場合、1株当たりの比準価額は
・課税時期に属する月
・課税時期の属する月の前月
・課税時期の属する月の前々月
・前年平均株価
・前年及び前々年平均株価 のうち最も低いものとされることになります。
また、1株当たりの年配当金額・年利益金額・純資産価額の比準割合については、下記図のようにされることになります。

さらに、評価会社の規模区分について、大会社及び中会社の適用範囲の拡大により、より大きい区分に該当することとなれば、一般的に評価額が低くなる「類似業種比準価額」を適用できる割合が増えることとなりますので、評価減につながります。
今回の改正案については、近年の大きな株価変動のリスクへの配慮と、中小企業の事業承継の妨げとなっている株価過大を緩和する改正案となっていると考えられます。

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