チェスターNEWS -2017/02/28-
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災害が起こった場合の家屋の相続税評価は?

近年、大きな地震が相次ぎ、これらの災害から受けた被害による財産の評価についての争いが発生しています。
相続開始日より後に災害が起こった場合、家屋の相続税評価額はどうなるのでしょうか。
実際に争われた事例を紹介いたします。
問題となった家屋は、東日本大震災でり災した建物でした。
相続開始日より約半年後、東日本大震災により、ひびが入るなど建物の一部が損壊したため、請求人らは、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼。
不動産鑑定士は、当該家屋を取壊し、更地とすることが土地の最有効活用であると判断し、本件家屋を0円であるとしていました。
また、本件鑑定書によらない場合であっても、東日本大震災の影響が考慮された平成24年度の固定資産税評価額を基に時価を評価すべきと主張していました。
しかし、当該家屋は相続開始の直前まで有効に使用収益されており、相続開始日時点における時価が0円であるとは考え難いとして棄却(平成28年2月23日)されました。
平成24年度の固定資産税評価額についても、経年劣化による評価減はあっても、り災による減価は認められないとされました。
結論として、たとえ相続開始後に被害を受けていたとしても、相続開始日時点の時価を基に評価しなければならず、財産基本通達の定めによらない評価額を時価とするときは、客観的、具体的事実に基づいて評価を行わなければならないということです。
ただし、当然ですが被災者救済のための減免制度があります。
損壊した家屋が一定の要件に該当しており、災害減免法第6条の対象となっていた場合には、原状回復費用の見積額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除く)を、災害減免法第6条の「被害を受けた部分の価格」の計算における家屋の「被害額」とすることができ、相続税の軽減が受けられます。
なお、一定の要件とは次の通りで、①又は②のいずれかに該当するときは、相続税が軽減されます。
① 相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(債務控除後の価額)のうちに被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)の占める割合が10分の1以上であること。
② 相続税の課税価格の計算の基礎となった動産等の価額のうちに動産等について被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)の占める割合が10分の1以上であること。

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