チェスターNEWS -2017/07/11-
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きちんと整理!遺言の種類について

相続税法が改正され課税ベースが拡大されたことにより、税理士先生の中には顧問先から遺言の相談を受けるケースも増えてきたのではないかと思います。
税理士が遺言業務に積極的に関与する機会は少ないと思いますが、故人の遺志を伝えるという重要な書面ですから、ここでどのような種類の遺言があるのかしっかりと整理をしておいていただければと思います。
1.遺言の種類は2種類
一言で遺言といっても法的には様々な種類の遺言書があります。しかし実際の相続実務を考えた時には下記の2種類とお考えいただいて結構です。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
それぞれ解説していきますと、自筆証書遺言は個人が自分で書いた遺言で、印鑑を押したものです。
対して公正証書遺言とは公証役場にて2名の証人のもとに作成され保管されます。
それぞれのメリット・デメリットをまとめると下記となります。
☆自筆証書遺言のメリット
・いつでもすぐに作れる
・費用がかからない
・他人に内容を知られることがない
★自筆証書遺言のデメリット
・内容の不備により無効になることがある
・解釈の相違により争いになることがある
・紛失したり相続人に発見されないことがある
・家庭裁判所による検認が必要
☆公正証書遺言のメリット
・内容の不備や解釈の相違による不安がない(作成時に公証人からアドバイスを受けられるため)
・紛失の心配がない
・家庭裁判所による検認が不要
★公正証書遺言のデメリット
・証人2名が必要
・証人に内容が知られてしまう
・費用が発生する
また近年の民法改正が議論されていますが、自筆証書遺言の取り扱いについても議論が進んでいます。
例えば、不動産などの財産が複数ある方にとって内容をすべて自筆するというのは困難でしたが、遺贈等の目的物を特定するための事項については自筆ではなくとも良いとする提案がされています。
また自筆証書遺言の紛失を防ぐ目的で公的機関での保存も検討されています。さらに、公的機関で保存を行った場合には家庭裁判所による検認も不要とされる提案がされています。
2.おすすめは公正証書遺言
上記の自筆証書遺言に係る民法改正については現時点ではまだどうなるかわかりませんが、税理士としてはぜひ公正証書遺言の作成をおすすめします。
デメリットでもあるように自筆証書遺言は気軽に作成することができる反面、法的な不備がある場合であっても相続が発生するまでは指摘を受ける機会がありません。実際に相続が発生し、遺言の解釈の不一致により故人の遺志とは反する争いが発生してしまうことがあるのです。
こうした事態を避けるうえでも、遺言は公正証書遺言にて法的に不備のない内容にて作成されることをおすすめします。
故人の遺志を正確に伝え、相続人間での争いを避ける上でも専門家によるアドバイスを受けしっかりとした遺言書を残すことが大切です。

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