チェスターNEWS -2017/10/10-
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平成30年度における各省庁の税制改正要望

各省庁等から平成30年度税制改正要望が出揃いました。今回は相続税・贈与税に関する各省庁からの税制改正要望一覧と、その中から一部の要望内容を現行と要望を比較致します。
1.各省庁の相続税・贈与税に関する税制改正要望一覧
内閣府
・新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置
金融庁
・上場株式等の相続税に係る見直し
・死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ
・信託受益権の質的分割に係る所要の措置
・相続税に係る国際的な課税のあり方の見直し
総務省
・地方独立行政法人に対する寄付金等に係る課税基準の特別措置の拡充
法務省
・相続登記の促進のための登録免許税の特例
文部科学省
・美術品・文化財に係る相続税の納税猶予の特例の創設
厚生労働省
・地域機能を確保するための個人開設医療機関への軽減措置の創設
・生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
・介護医療院の創設等に伴う税制上の所要の措置
・個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設
農林水産省
・新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置
経済産業省
・事業承継税制の見直し
・個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設
国土交通省
・新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置
2.現行と要望の比較
①死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ(金融庁)
被相続人が被保険者で死亡保険金を相続人が受け取った場合、受け取った死亡保険金は非課税限度額まで非課税となる制度です。
前提として相続人が死亡保険金の受取人とします。次の算式によって計算された金額が現行と要望の非課税限度額となります。
〇現行
500万円×法定相続人数
〇要望
500万円×法定相続人数+配偶者及び未成年の被扶養法定相続人数×500万円
要望の死亡保険金の非課税限度額は、現行の非課税限度額に「配偶者及び未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を上乗せして限度額の金額を引き上げるという内容となります。
金融庁が考える効果の見込みとして、「30歳代から40歳代の世帯主の場合、死亡保険金の平均的な加入額は2,000万円から2,500万円となっており、この金額は保険契約者の考える最低限必要な遺族の生活資金相当額を見なおすことができる。」とあります。
こちらは、平成3年度税制改正より継続して要望をしている内容になります。
②相続登記の促進のための登録免許税の特例(法務省)
相続を原因とする所有権の移転の登記の場合、市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格に対して税率を乗じて税額を算定して登録免許税を税務署等に納付します。
今回の要望は、その相続登記に関する登録免許税を免除するという内容です。
〇現行
課税価格×税率=登録免許税
〇要望
課税価格×税率=免除(注1)
(注1)以下の場合が免除の要件です。
(イ)相続発生から30年以上経過している土地に関して当該相続を起因とした登記を申請した場合
(ロ)課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を起因とした登記を申請した場合
政策目的は「所有者不明土地問題への対応のため、相続登記を促進する。」です。全国で所有者不明土地は平成29年6月発表では20.3%になるそうです。
実務を行う中で登記簿謄本を拝見させていただきますと、すでにお亡くなりになられている方の名義になっているものも時々あります。
こちらは平成30年度~平成32年度の3年間の期限付きですので、こちらの要望が成立したら適用期限の注意が必要かと存じます。
以上はあくまで平成30年度税制改正要望なので、税制調査会や国会等の動きが今年も気になります。

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