チェスターNEWS -2017/12/12-
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一般社団法人、小規模宅地等を利用した節税スキームに暗雲?
今年の11月1日に開催された政府税制調査会において、日本税理士会連合会の神津信一会長は2つの節税スキームについて課税の公平上問題であると言及しました。
一つは一般社団法人を利用した節税スキームです。
一般社団法人には持分がありません。
このため予め法人に財産を移転しておけば、その法人を支配していた者が亡くなってもその者の財産として課税されず、亡くなった者の親族が引き続き法人を支配できる、つまり無税で資産を引き継ぐことができるというスキームです。
このスキームについて神津信一会長は、本来の一般社団法人の有益性・公益性を利用したものであると指摘しています。
もう一つは小規模宅地等のうち特定居住用宅地等を利用した節税スキームです。
特定居住用宅地等の適用を受けるために、被相続人と同居していない親族が満たすべき取得者ごとの要件の一つに、相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋(一定のものを除きます)に居住したことがないことというものがあります。
この要件に着目して、資産管理会社等に予め建物を譲渡しておき、当該建物を社宅として居住することでその要件を満たすというスキームです。
このスキームについて神津信一会長は小規模宅地等の制度趣旨から逸脱した行為であると指摘しています。
いずれについても当初の想定から外れた制度の使い方をしていることを言及したものです。また以前から同様の観点で問題点を指摘されているものもあります。
節税スキームについては、提案されたものを安易に活用すると税務リスクが高くなる可能性があります。
特に相続税は長い目で見るべき税目であり、その影響額も大きくなります。
節税スキームを活用するのであれば、可能なら対象となる制度の立法趣旨等も考慮し、税務リスクを見極めながら行っていくことが賢い選択と言えるでしょう。

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