チェスターNEWS -2014/10/27-
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海外不動産の実務的な相続税評価方法
1.海外不動産の評価方法(土地・建物)
財産評価の基本は時価です。
財産評価基本通達に定められていない国外財産については、その国に路線価や固定資産税評価のような指標があれば、その指標を直に引き直した額により評価します。このような評価基準がない場合には、一般的には売買実例価額・精通者意見価格・専門家による鑑定評価といったような価額を使って評価をすることになります。
海外不動産については、日本における路線価や固定資産税評価の様な指標がないことが多く、売買実例価額等を使って評価を行うのが一般的です。
また、インターネットで不動産の取引データを公開されている国も多くあり、現地の状況等を考慮して、売買実例価額を把握することも出来ます。
一方、参考資料等の入手が難しいケースは、取得価額を基に同一種類の財産の価格動向等を考慮し、時点修正をして求めた価額により評価をすることも出来ます。
合理的な価額変動率は、諸外国で公表されている不動産の統計指標等があるため、これを参考にすることが出来ます。
また、日本ではアパートやマンションなどでも土地と建物を分けて評価しますが、国外財産については、土地建物合わせての価額が出てくることが多いです。
3.小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例についは、特に所在地を規定されていないため、要件を満たすようであれば、小規模宅地等の特例を適用することが出来ます。
4.換算レート
外貨建て資産を取得した場合の換算レートは、その課税時期における取引金融機関のTTB(電信買相場)により換算します。また、外貨建ての債務がある場合には、TTS(電信売相場)により換算します。
課税時期が休日等で為替相場が公表されていない場合には、課税時期の最も近い日の為替レートを使用します。
5.外国税額控除
海外不動産について、その所在国等で相続税に相当する税を納めている場合には、外国税額控除を適用することが出来ます。
6.ジョイントテナンシー
ジョイントテナンシーは、2人以上の所有者により不動産を共同所有している合有不動産権のことです。共同所有者がそれぞれ同じ権利を所有することになり、このうちの1人が死亡した場合には、生存者に自動的に所有権が継承されます。
ジョイントテナンシーは海外では相続手続きなしで自動継承されますが、日本での相続税申告では相続財産に考慮する必要があります。
夫婦共同で所有していた国外のジョイントテナンシーがあり、夫が死亡した場合には、その不動産の被相続人分1/2は相続財産に計上して、日本の相続税を計算します。

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