チェスターNEWS -2015/02/20-
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1. 借地権とは?
借地権とは、他人から土地を借り、建物を建築などした場合に建物所有者に発生する権利のことです。借地権は目に見えない権利ですが、日本では「借地借家法」という法律により、土地の所有者よりも建物所有者が守られる傾向にあります。なぜ、建物所有者が守られているのでしょうか。
それは建物所有を目的としてコストをかけて建築した建物を、土地所有者の一声で壊さなければいけないという状態だと、建物所有者は安心して建物を建ててそこに住むことができなくなるためです。ちなみに、借地権は建物所有を目的として生じる権利であるため、駐車場や期間限定利用のプレハブ等を目的として土地を借りたとしても借地権は発生しません。
2. 借地権の名義変更の方法
借地上の建物を譲渡する場合や建て替える場合には、地主の承諾が必要となり、地主に対して承諾料を支払う必要があります。一般的な承諾料は下記の通りです。
- 譲渡のとき:借地権価格の10%前後
- 建て替えのとき:更地価格の2%~5%程度
それでは、相続のときはどのくらいの承諾料を地主に支払う必要があるのでしょうか。実は、相続のときには承諾料を支払う必要はないのです。もし、地主から承諾料を求められたとしてもキッパリと断って問題ないのです。
なお、借地上の建物に係る名義変更登記は必要になりますので忘れないようにしましょう。
3.借地権にも相続税がかかる?
借地権を相続した場合、土地そのものの所有権の相続ではないので、相続税はかからないだろうと思う方もいるかもしれませんが、借地権も立派な財産であり、相続税の対象となります。借地権にも普通借地権や定期借地権など色々種類がありますが、ここでは一般的な普通借地権(他人の土地の上に建物が建っている状態)の評価について説明します。
相続税の借地権の評価は、下記の算式により算出します。
自用地の評価額 × 借地権割合
- ※1 自用地の評価額とは、土地が更地であるとした場合の相続税評価額をいいます。
- ※2 借地権割合は、国税庁のHPにある路線価図を参照します。路線価の横にあるアルファベットにより下記の通り決められています。

下記前提条件を基に実際に計算してみましょう。
- ① 面積 200㎡
- ② 路線価 300D
200㎡ × 300,000円 × 60% = 36,000,000円
路線価の数字は1㎡あたりの千円単位の評価額となりますから、300の場合には30万円となります。借地権割合はDですので60%となります。
借地権割合は、都心に行けば行くほど高くなる傾向にあります。なお、都市近郊の住宅地での借地権割合は70%や60%の地域が多いです。この借地権割合からも分かるように、都心部ですと、土地を持っている人よりも借地権の価値の方が高くなります。この点からも土地所有者よりも借地権者の権利の方が強いということがあらわれていますね。
このため相続が発生してから、建物だけを持っていて土地は所有していないから相続税はかからないと安易に判断せずに、税理士に相談して借地権の価値を考慮して相続税申告の要否を判断するようにしましょう。

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