チェスターNEWS -2015/03/02-
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相続人不存在の場合の相続手続きはどうすればいいの?
1. 相続人不存在とは
亡くなった人の親、子、兄弟など相続人となれる親族が既に全員亡くなっている場合など、被相続人に相続人が誰もいない、いるかどうか明らかでない状態のことを相続人不存在といいます。法定相続人全員が相続を放棄した場合や、相続人全員が相続廃除・相続欠格等の理由で相続人資格を失っている場合も相続人不存在となります。
ただし、相続人がいなくても、遺言書によって全ての財産を遺贈される受遺者(包括受遺者)がいる場合には、遺言書が優先されるので相続人不存在には該当しません。
また、「戸籍では相続人がいることは分かっているけれど、その相続人の所在や生死が分からない。」といった場合は相続人不存在とはならず、「不在者財産管理人の選任」や「失踪宣告」といった、相続人不存在の場合とは別の手続きが必要になるので注意が必要です。
2. 相続人不存在の場合の相続手続きの流れ
相続人不存在の場合の相続手続きは、具体的に以下の手順で進んでいくことになります。
①相続人財産管理人の選任
相続財産管理人とは、相続人の捜索や財産の管理精算を行う人のことをいい、利害関係者や検察官の請求により、家庭裁判所によって選任されます。利害関係者とは、被相続人の債権者、特定の財産の遺贈を受けた者、特別縁故者などが該当します。
相続財産管理人が選任されると、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告がされます。
②相続財産の債権者、受遺者の確認
相続財産管理人の選任の公告から2か月後、相続財産管理人は、相続財産の債権者や受遺者に対して、2か月以上の一定の期間内に申出るように公告をします。
③相続人不存在の確定
②の公告で定めた期間が過ぎると、家庭裁判所は相続財産管理人の申立てにより、相続人を捜すために6か月以上の期間を定めて公告します。
この期間内に相続人が現れなければ相続人不存在が確定となります。
④特別縁故者の申立
③の公告の期間が過ぎてから3か月以内に、特別縁故者は相続財産の分与を申立てることが出来ます。特別縁故者とは、被相続人と長い間同居していた者や、被相続人の療養看護に努めていた者など、被相続人と特別な縁故があった人のことをいいます。
⑤債権者、受遺者への支払い、特別縁故者への相続財産の分与
①~④の公告で債権者や受遺者、特別縁故者が現れた場合は、相続財産管理人はその支払いや相続財産を分与するための手続きを行います。
⑥国庫への帰属
⑤の支払が終えても相続財産が残っていた場合は、相続財産は国に引き継がれ、手続きは終了します。


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