チェスターNEWS -2015/04/06-
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税理士が解説。国税庁路線価のカンタンな確認の方法

1. 宅地の相続税評価方法
宅地の相続税評価方法には路線価方式と倍率方式があります。(財産評価基本通達11)
市街地的形態を形成する地域にある宅地の相続税評価は路線価方式で、路線価方式を適用する宅地以外の宅地の評価は倍率方式で行います。
路線価方式による宅地の評価は、国税庁が定めた宅地の面する道路に付された路線価に様々な調整を行って評価単価を算定し、評価単価に地積を乗じて評価額を算定します。
2. 路線価とは~路線価の決定方法・公表時期
路線価とは、国税庁が設定した路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額のことです。路線価は売買実例価額、公示価格、不動産鑑定価額等を基に決定されますが、概ね公示価格の8割程度の価額に設定されます。
なお、その年分の路線価が国税庁から発表されるのはその年の7月初旬頃となっています。相続税申告の場合は、亡くなった年度の路線価を使用するため、路線価が国税庁から発表される7月初旬以降でないと相続税の申告はできません。
3. 国税庁路線価の検索方法
路線価図は国税庁のホームページ(http://www.rosenka.nta.go.jp/)から確認することができます。確認の手順は下記の通りです。
(1)閲覧する年分を選択
(2)閲覧する都道府県を選択
(3)「路線価図」を選択
(4)閲覧する市区町村を選択
(5)町丁名索引が表示されるので、該当箇所を選択
4. 国税庁路線価図の見方
ⓐ 年分を表示しています。この場合は平成「26」年分を示しており、平成26年分(平成26年1月1日~平成26年12月31日に相続、遺贈又は贈与により取得したもの)の財産評価に適用します。
ⓑ ○の中の数字は住居表示の街区番号を表示しています。この場合は日本橋室町3丁目の「4番地」を示しています。
ⓒ
地区区分を表示しています。この場合は高度商業地区に該当することを示しています。なお、黒塗り表示は黒塗りがされている側の道路沿いの地域だけが高度商業地区となることを示しています。
3,370A…1㎡当たりの金額を千円単位で表示しています。この場合は、路線価が1㎡当たり3,370,000円、借地権割合が90%であることであることを示しています。
5. 実際の計算方法
国税庁が定める路線価方式による宅地の評価は以下のように行います。
(1)一路面に接する宅地
路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率×地積×持分
(2)正面と側方に路線がある宅地
①正面路線価※1×奥行価格補正率
②側方路線価×奥行価格補正率×側方路線価影響加算率×接道按分※2
③(①+②)×不整形地補正率×地積×持分
※1 正面路線価は、原則として「路線価×奥行価格補正率」の高い方の路線価です。なお「路線価×奥行価格補正率」が同額となる場合には、原則として、路線に接する距離の長い方の路線を正面とします。
※2 接道按分とは、側方影響加算を行う場合で、側方路線に接する部分(実際の間口距離)がその宅地に係る想定整形地の間口距離より短い場合には、側方路線に接する部分がその宅地に係る想定整形地の間口距離に占める割合により加算額を調整します。
実際に上記路線価図のA土地を評価してみましょう。A土地は正面と側方に路線がある宅地になるので、「(2)正面と側方に路線がある宅地」により評価します。
【計算条件】
・評価対象地:
・地目:宅地
・地積:400㎡(20m×20m)
・利用区分:自用地
・持分:1/10
・不整形地:該当しない
・高度商業地域の奥行価格補正率:奥行距離20m→1.00
・側方路線影響加算率:高度商業地区、角地→0.10
・接道按分:実際の間口距離20m÷想定整形地の間口距離20m=1.00
①正面路線価3,370,000円×奥行価格補正率1.00=3,370,000円
②側方路線価990,000円×奥行価格補正率1.00×側方路線影響加算率0.10×接道按分1.00=99,000円
③(3,370,000円+99,000円)×地積400㎡×持分1/10=138,760,000円

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