チェスターNEWS -2015/04/17-
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失敗しない相続税対策で賃貸マンション・アパート建築の方法

1. 賃貸マンション・アパート建築により相続税が節税になる理由
賃貸マンション・アパートを遊休地に建築すると相続税が安くなると聞いたことがあるかと思いますが、どのような仕組みで相続税の節税になるのでしょうか。
キーワードは、
「時価(購入価格)と相続税評価額の差を利用する」
です。
相続税計算において、不動産は時価(購入価格)で評価されるのではなく「相続税評価額」という国税庁が定めた財産評価基本通達で所定の方法に基づいて評価します。土地と建物ごとにその方法を確認していきましょう。
① 土地
更地や自己住宅の敷地である土地を自用地といいます。相続税においては自用地の評価が一番高くなります。
自用地である更地に賃貸マンション・アパートを建築すると貸家建付地として評価することができます。
貸家建付地の計算式は下記の通りです。
自用地の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※ 借地権割合:地域によって異なりますが、都市部では60%から70%程度です。
※ 借家権割合:全国一律30%となります。
※ 賃貸割合:空室がなければ100%となります。
したがって、更地に賃貸マンション・アパートを建築すると自用地の相続税評価額から2割程度減額が可能となります。
さらに、一定の要件を満たす貸家建付地については小規模宅地等の特例の適用が可能であるため貸家建付地から更に5割を追加で減額ができるのです。
② 建物
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額を基に計算します。固定資産税評価額は、毎年5月か6月頃に都税事務所や市役所から送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できます。
固定資産税評価額は、鉄骨やRCの場合は建築費の7割、木造の場合は建築費の5割くらいと一般的には言われています。
さらに、土地と同様に賃貸マンション・アパートの場合には固定資産税評価額から借家権割合(30%)を控除できます。
すなわち、木造の賃貸マンション・アパートの場合には、建築費の35%程度で評価ができるのです。
2. 実際に節税効果を計算してみましょう
【前提】
・更地の自用地評価額(200㎡) 5,000万円
・賃貸建物の建築費(木造) 5,000万円
・借地権割合70%地域

※ 土地
・貸家建付地評価
5,000万円×(1-70%×30%×100%)=3,950万円
・小規模宅地等の特例の適用
3,950万円-3,950万円×50%=1,975万円
※ 建物
・固定資産税評価額
建築費の5割として2,500万円
・貸家評価
2,500万円(1-30%)=1,750万円
上記事例で分かる通り、もともと「土地(更地)」と「建築資金である現金」の合計が1億円だったものが、賃貸マンション建築により土地、建物の相続税評価額が3,725万円となり、6,275万円もの圧縮ができています。相続税の税率が5割の人ならば更地に賃貸マンションを建築するだけで3,000万円以上の節税となるわけです。
3. いいことばかりではありません
相続税の節税だけを考えると賃貸マンション・アパートの建築はいいことだらけですが、土地の所在地などによっては賃貸マンション・アパート建築に向かないところもあり、空室だらけで収益性が低い賃貸マンション・アパートを建築してしまっては本末転倒ですので、資産運用の観点からも失敗のない有効活用をしましょう。

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