チェスターNEWS -2015/05/15-
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子供のいない夫婦の相続で気を付けること

最近では、多種多様なライフスタイルが定着しておりますので、事情によっては子供のいない夫婦も珍しくありません。そして、このような夫婦のどちらかに相続が発生すると、当然のように配偶者が全て相続するものだと考えている方が多いようですが、答えはNoです。
子供のいない夫婦に相続が発生した場合、その配偶者が法定相続人であることは当然ですが、被相続人の両親や兄弟姉妹も法定相続人となりますし、場合によっては、祖父母や甥・姪も法定相続人となることがあるのです。
それぞれの場合について誰にどれだけ相続されるのか、整理してみましょう。
1、 前妻との間に子供がいる場合

この場合、当然前妻に相続権はありませんが、子供には1/2の相続権が発生します。また、子が既に亡くなっており、孫がいる場合はその孫に1/2の相続権が発生します。
2、 子がおらず、両親の少なくとも一方が健全な場合
この場合、両親が合わせて1/3、配偶者には2/3の相続権が発生します。

3、 子がおらず、両親が既に亡くなっているが、兄弟姉妹がいる場合
この場合、兄弟姉妹が合わせて1/4、配偶者には3/4の相続権が発生します。下記のように、兄弟姉妹が既に亡くなっている場合には、その子である甥・姪に相続権が発生しますので、ご注意下さい。

以上のように、子供のいない夫婦であっても、必ずしも配偶者にだけ相続が発生するわけではありません。配偶者の兄弟姉妹に関しては、あまり親交が深くないこともありますので、揉める要素が多いことが理解できるのではないでしょうか。
そのため、事前の準備が大切です。具体的に一番有効なのは、遺言書です。
なぜなら、兄弟姉妹、甥・姪には遺留分が無いからです。遺留分というのは、法定相続人の権利の一部を保護するために決められた分け前で、遺言書や公正証書で指定された内容が、ある法定相続人の遺留分を侵害している場合に、遺産の多くを取得した相続人や受遺者に対して遺留分侵害の限度で返還を請求する権利があります。
そしてこの権利を行使できるのは、今回の例ですと、1と2です。
つまり、生前に遺言書を書いておくことで、3の兄弟姉妹、甥・姪が相手の場合には、配偶者に全て遺産を相続させることができるのです。
1や2の場合でも、遺留分は元々持っている権利の半分なので、書いておいて損はないでしょう。
相続発生後の争いは、残された配偶者にとっても、その他の相続人にとっても、出来るだけ避けたいことなので、事前に対策しておくことをおすすめします。

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