「定期金給付契約に関する権利」の意義
契約(定期金給付契約)によって、ある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権のことを「定期金給付契約に関する権利」といいます。そして、相続税基本通達では、この権利に対する相続税法上の見解が示されています。それについて以下で解説します。
定期金給付契約に関する権利に関する相続税法の規定について
相続又は遺贈によって定期金給付契約に関する権利を取得した場合には、相続税法第3条第1項第4号又は第5号の規定により「みなし相続財産」とされ、相続税又は贈与税が課税されます。
例えば、被相続人が保険料の全部又は一部を負担し、相続人が受取人となっている定期給付金契約に関する権利は、被相続人が亡くなると、当該権利のうち、被相続人が保険料を負担した部分については、これを相続財産とみなして相続税が課税されます。
また、定期金の給付を受け取る権利を有する被相続人が亡くなった場合で、その権利をその被相続人の相続人が承継する場合には、その相続人に対して、承継した定期金の給付を受ける権利のうち、被相続人が保険料を負担した部分について、これを相続財産とみなして相続税が課税されます。
そして、相続税法第24条においては、相続人等が定期給付金契約に関する権利を取得した場合における、その相続財産評価について規定しています。なお、相続税法第24条では、
この権利を①有期定期金②無期定期金③終身定期金の3つのケースに分けて、その評価方法を規定しています。
「定期金給付契約に関する権利」の意義とは
「定期金給付契約に関する権利」の意義とは、相続税法の解釈を示した相続税基本通達の
24-1で、この権利についての解釈が示されていますが、そのことを指します。
具体的には、相続税第24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」とは、契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい、毎期に受ける
支分債権ではなく、基本債権をいうと規定しています。
ここで、支分債権とは、定期金給付契約に基づいて、一定期間ごとに定期的に受ける金銭を要求する権利のことを言います。例えば、1か月に1回10万円が支給される契約の場合には、X年X月に10万円を請求できる権利が支分債権に該当します。
これに対して、基本債権とは、定期金給付契約から生じる債権全体のことを言います。例えば、上記の定期金給付契約が、終身契約であれば、一生涯、毎月10万円の支払いを請求できる権利が、この基本権に該当します。
この通達によって、相続税の課税対象となるのは、一定期間ごとの給付を請求できる権利(支分債権)ではなく、契約から生じる権利の全体(基本債権)であるということになります。
(「定期金給付契約に関する権利」の意義)
24-1 法第24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」とは、契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい、毎期に受ける支分債権ではなく、基本債権をいうのであるから留意する。(平22課資2-12、課審6-15、課評2-22改正)
(注) 法第24条の規定の適用に当たっては、評価基本通達第8章第3節((定期金に関する権利))の定めに留意する。
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