「相続の開始があったことを知った日」の意義
さまざまな条件下での「相続の開始があったことを知った日」について
「相続の開始があったことを知った日」は、被相続人の死亡日だけではありません。
そのため、全てのケースで死亡日から起算すれば良いと思っていたら、手続きの期限を間違って計算してしまう恐れがあります。
「相続の開始があったことを知った日」は正しく把握しよう
相続が開始するのは、一般的には「被相続人の死亡日」とされています。
死亡日となっているのは、多くのケースにおいて相続人が被相続人の親族となっているからです。
被相続人が亡くなったことは、配偶者や子供であればすぐに知ることができると考えられます。
加えて、相続開始日を被相続人の死亡日にすることで、相続財産が無主物になることも防ぐメリットもあります。
「相続の開始があったことを知った日」は、とても重要な役割を持っています。
それがいつなのかによって、相続税をいつまでに納付すれば良いのかが変わりますし、相続財産のうちプラスの部分だけを相続できる限定承認が可能かどうかも変わってきます。
相続が発生すると様々な手続きが必要になります。
その手続きの期限を計算するためにも、相続の開始があったことを知った日を知ることは大事なのです。
失踪宣告の場合はいつになるのか?
民法には、実際に被相続人が亡くなっているのか遺族が分かっていなくても死亡とみなし、相続を開始させる制度があります。
それが、失踪宣告です。
失踪宣告では、その取り消しを受けない限りは宣告後に被相続人を相続することができます。
失踪宣告による相続は、家庭裁判所による審判が確定したことを相続人が知った日が「相続の開始があったことを知った日」になります。
ここまでが、被相続人が失踪宣告を受けた場合です。
では、もし相続人の一人が失踪宣告を受けて死亡したとみなされていたらどうでしょうか。
この場合は、家庭裁判所が審判を取り消した日が彼の「相続の開始があったことを知った日」になります。
胎児や幼児が相続人のケース
次は、幼児や胎児が相続人の場合です。
幼児は、民法では事理弁識能力がないとされています。
そのため、相続人である幼児については、法定相続人が被相続人の死亡を知った日となります。
胎児は、相続については既に生まれたものとみなすという民法886条の規定があるため、まだ母親のお腹にいる時でも相続人としての資格を有します。
このケースにおける「相続の開始があったことを知った日」は、法定代理人が胎児の出生を知った日になります。
必ずしも死亡日に相続が開始するわけではない
相続開始は死亡日であると書きましたが、そうでない場合もあります。
それが、遺言書を残した場合です。
遺言書に、Aさんに全ての財産を寄贈すると書いてあったとします。
この場合は、Aさんが寄贈の事実を知った日が、「相続の開始があったことを知った日」になるのです。
このように、全てのケースで死亡日とするわけではないため、相続の手続きをする際には間違えないようにしましょう。
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