老人ホームへ入居していた場合の小規模宅地等の特例の適用可否
老人ホームへの入所によって空家となっていた建物を、相続人が相続によってその敷地と共に取得し、その建物に居住する場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができるのでしょうか。以下で解説します。
小規模宅地等の特例について
本題に入る前に、小規模宅地等の特例について解説します。
小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住の用に供していた住宅の敷地を相続人が取得し、
その居住を継続する場合には、当該敷地の相続税評価額を、330㎡を上限面積として、本来の評価額の20%として相続税額を計算できるというものです。
例えば、被相続人が居住の用に供していた住宅の敷地(面積200㎡)を、相続人が住宅と共に相続によって取得し、その住宅及び敷地に居住するとした場合、その敷地の相続税評価額が1,000万円とすると、相続財産評価において、当該宅地の評価額は1,000万円×20%=200万円となります。
「老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等特例」について
ある照会者から国税庁に対して以下のような質問がなされました。
これは、被相続人が居住していた建物を離れて、老人ホームに入居し、一度も退所することなく亡くなったケースで、被相続人が所有していた建物の敷地を、相続人が相続し、その建物に居住するとした場合、上記の小規模宅地の特例は適用されるのかどうか、というものです。
この質問に対して、国税庁は、以下の状況が客観的に認められる場合には、小規模宅地等の特例が適用されると回答しました。
(1) 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホー
ムに入居することとなったことが認められること
(2) 被相続人がいつでも生活できるように建物の維持管理が行われていたこと
(3) 入所後にあらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供した事実がないこと
(4) その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所
有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと
この質問及び回答が、国税庁の質疑応答「老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等特例」となります。
なお、標題の「老人ホームへ入居していた場合の小規模宅地等の特例の適用可否」は、当該質疑応答の別名となります。
「老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等特例」の法制化について
国税庁の質疑応答「老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等特例」の内容は、平成25年度税制改正によって法制化がなされました。
現在では、以下のいずれの要件も満たした場合には、老人ホーム等に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の用に供されなくなった敷地は、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして、小規模宅地等の特例が適用されます。
(1)被相続人の介護が必要なため入所したものであること
(2)当該家屋が貸付等の用途に供されたものでないこと
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