著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
贈与税や相続税、所得税がかかるか否かについては、相続税法や所得税法に詳細に規定されています。しかし、その「詳細」な部分を知らなかったばかりに滞納扱いとなり、重加算税などを課されることがあります。
例えば、財産を売買するとき、一般的な取引価格や相場など、社会通念上適正な価格というものがあります。もしその価格より「著しく低い価額」で個人間売買がなされた場合、どうなるでしょうか? その場合、適正な価格と実際の価格の差額について贈与が行われたとみなされ、贈与税の課税対象となるのです。
そんな、思わぬところで課せられてしまう税を、紹介していきましょう。
贈与税が課税されるシーン
先ほど紹介した「著しく低い価額」での売買については、当然基本となる金額というものがなければいけません。時価と表現されているその価額については、すでに判例が存在しており、土地や建物などの不動産に関しては通常の取引価格、それ以外は相続税評価額となっています。そして同じく、「著しく低い価額」についても、土地建物については判例があり、概ね取引価格の80%を下回る価額となっています。
また、課税される税金については、個人間の譲渡であれば贈与税、それが親子などで、送り主が亡くなった場合は相続税、法人から個人の譲渡であれば所得税、と状況によって違ってきますので、間違えないようにしなければいけません。
その他、認識漏れを起こしやすい課税シーンについて、ほんの一部ですが、贈与税に絞って紹介していきます。
(1)保険料を払っていない保険
保険料を自分で払っていなかった生命保険や損害保険の受取人になっていた場合、その保険金は贈与税の課税対象となります。
(2)借金の免除や肩代わり
親が子供の自動車ローンを代わりに払っている場合や、親が子供に貸したお金を帳消しにした場合は、贈与したとみなされ、課税対象となります。
また、親子などでよく行われる、「あるとき払いの催促なし」の借金や「利息なし」での借金の利息についても、贈与されたものとみなされる場合があります。
(3)信託による利益の贈与
「信託」というのは、財産を誰かに預けて運用してもらうことです。この「信託」についても、注意が必要です。
親が子供に財産を信託し、子供がその利益を受け取る場合、「信託受益権」を贈与したことになり、贈与税の課税対象になります。
(4)住宅の共同購入
夫婦共働きなどで、住宅資金を夫婦で負担する場合にも、気をつけましょう。
もし購入資金の負担割合と所有権登記の持ち分の割合に違いがあった場合、その割合の差分が贈与とみなされる場合があるのです。
ほんの少しだけですが、贈与税が課税されるシーンを紹介しました。実際には相続税や所得税も含めて、思いもよらないときに課税される場合が多数あります。
財産のやり取り、特に大きな金額が動くやり取りについては、安易に考えず、細心の注意を払っておきましょう。
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4423 著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
国税庁 タックスアンサー No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
キーワード検索
入力されたキーワードに一致した記事を検索できます。