農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合
生前贈与を受け取る際には通常、贈与税というのがかかることになっていますが、農地の生前贈与においては、一定の条件を満たしていれば農地を生前贈与したとしても納税猶予という特例を利用することができることになっています。
また、事業主と所得者が同一である必要はなく、農地が細分化するのを防止することと農業経営者を税制面で助成することで育成を図る特例だと言えます。
1.納税猶予という特例
生前贈与を受け取った場合に贈与税が生じますが、農地においては納税猶予という特例を利用できる場合があります。
(1)税金を納めなくてよい納税猶予という仕組み
有る条件を満たしていることで、納税を待っていてもらえる「納税猶予」という特例が利用できます。その条件とは、農地で農業の経営を行っていた人が相続する予定の人に対して、3分の2以上の農地を生前に贈与する場合、農業を続けている限りは納税の義務が発生しないというものです。
(2)納税猶予の適用を受けていても納税義務が発生する時
農地の生前贈与を受取り、農業を営んでいたけれど途中でやめてしまった時や、元の農地の所有者が亡くなってしまった時は、納税をしなければなりません。
しかし、それまでは納税の義務はなく納税猶予が適用されます。
2.農業所得の申告を贈与者以外の者が行う場合
一定の条件さえ満たしていれば、農業所得の申告を所有者ではなく農業事業主であったとしても納税猶予が適用されます。
(1)農地の所有者と農地の事業主が同一である必要はない
この特例は、必ずしも所有者が農業を営まなければならないというものではありません。例として、日常的に農業を営むことが難しい会社員がその農地の所有者だとして、代わりにその妻が農業を行っているとします。妻が農業をしているとなると、納税猶予の適用条件に定められている農地の所有者が贈与をするという点で適用されないのではないかという疑問が生じてしまいます。
しかし、農地を所有している者が農地の事業主である必要はなく、妻が事業主で農業所得の申告も妻がしていても納税猶予の制度を利用することが可能です。
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