店舗兼住宅等の持分の贈与があった場合の居住用部分の判定
20年以上継続した婚姻期間のある夫婦間で居住用不動産を贈与した一定の場合には、最高で2,000万円までの贈与税の配偶者控除の適用が可能です。では、上記の要件を満たす夫婦間で店舗兼住宅等の持分の贈与があった場合には、当該控除の適用はどうなるのでしょうか。以下で解説します。
店舗兼住宅等の居住用部分の判定について
本題に入る前に、店舗兼住宅等の居住用部分の判定について解説します。
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭等の贈与があった場合、基礎控除110万円の他に、最大で2,000万円の特別控除の適用を受けることができるという制度です。
では、店舗兼住宅等、家屋のうち、居住の用に供している部分と居住用以外の用に供している部分を有する部分を併せ持つ家屋や、そのような家屋の敷地を夫婦間で贈与した場合、
当該贈与について贈与税の配偶者控除は適用されるのかどうかという問題があります。
この問題について、相続税基本通達21の6-1では、一定の方法によって計算した当該家屋又は敷地の全体面積に占める居住の用に供されている部分の面積の割合が、90%以上である場合には、その家屋又は敷地全体を居住用不動産として、贈与税の配偶者控除の適用が可能であると規定しています。
そして、同通達21の6-2で、その計算方法について下記のとおり規定しています。
(1)当該家屋のうち、居住の用に供している部分の面積(X)の計算
(A)当該家屋のうち、専ら居住の用に供されている部分の面積
(B)当該家屋のうち、居住用と居住以外の用に併用されている部分の面積
(C)当該家屋の床面積
(X)=(A)+(B)×(A)/(C)-(B)
(2)当該土地のうち、居住の用に供している部分の面積=(Y)の計算
(D)当該土地のうち、専ら居住の用に供されている部分の面積
(E)当該土地のうち、居住用と居住以外の用に併用されている部分の面積
(Y)=(D)+(E)×(X)/(C)
贈与された家屋面積に占める(X)の割合が90%以上であれば、当該家屋は全体として、居住用不動産に該当し、そのすべてについて贈与税の配偶者控除の適用が可能です。
同様に、贈与された土地面積に占める(Y)の割合が90%以上であれば、当該併用住宅の敷地に供されている土地のすべてについて、贈与税の配偶者控除の適用が可能です。
店舗兼住宅等の持分譲渡があった場合の居住用部分の判定について
では、店舗兼住宅等の併用住宅の持分の贈与があった場合に、当譲渡に係る贈与税の配偶者控除の取扱いは、どうなるのでしょうか。
これについて、相続税基本通達21-6の3では以下のように規定しています。
まず、原則としては、上記で計算した贈与対象家屋又は土地の全体面積に対する居住の用に供している部分の面積の割合に、持分割合を乗じた割合に対応する部分を居住用不動産に該当するものとして、当該贈与税の配偶者控除を適用します。
なお、贈与財産の持分割合が、贈与対象家屋又は土地の全体面積に対する居住の用に供している部分の割合を下回る場合には、原則として、居住用家屋又は土地の全体面積に当該持分割合を乗じた部分を居住用財産として贈与税の配偶者控除を適用することが認められます。
また、反対に、贈与財産の持分割合が、贈与対象家屋又は土地の全体面積に対する居住の用に供している部分の割合を上回る場合にも、原則として、居住用家屋又は土地の全体面積に当該持分割合を乗じた部分を居住用財産として本控除の適用が可能です。
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