財産分離の請求の防止等
財産分離の請求の防止等の条文と関連条文に関する解説
財産分離の請求の防止等とは、民法第949条の条文です。この条文を理解するために、少し条文に登場する言葉を理解していきましょう。
固有財産とは、もとからその人のものであった財産で、ここでは相続や譲渡からの財産とは区別されます。例えば相続人が持ち家を元から取得していれば、その持ち家は相続人の固有財産と言う事が可能です。相続債権者とは、相続財産に属する債務の債権者の事で、遺産債権者とも言います。受遺者とは、遺言で指定されて遺贈を受ける事が可能な人の事です。
このような事を踏まえた上で条文を解説すると、相続人は元から取得している財産を担保として提供すれば、遺産債権者や受遺者などの財産分離の請求を止める事が可能となり、相続した財産を守る事が可能と理解できるはずです。要は相続人が相続した財産、資産の代わりの担保、土地や建物などを提供すれば相続人が相続で取得した財産、資産を切り売りする必要が無くなるのです。
相続財産は、相続人の管理がずさんであれば、その価値を下げる事にもなり得ます。土地や建物をイメージするとわかりやすいかもしれません。土地の手入れや建物のメンテナンスが行われなければ、価値は下がり、価値が下がれば、遺産債権者や受遺者の不利益にも繋がります。そこで遺産債権者や受遺者は財産分離の請求を検討する事となりますが、これを相続人が元から持っている担保の提供で防止出来るのです。
ただし、相続人の債権者が、損害を受ける事を証明して異議申立てをすると、財産分離の請求の防止を防ぐ事も可能となっています。こちらは相続人の債権者を保護するといった意味合いです。この条文からは相続人は、財産、資産を相続してそこで終わりではなく、管理を行なって価値を維持する事も必要という事がわかるはずです。相続したら終わりではありません。相続財産の価値を維持し続ける事も相続人の責任という訳です。
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