これから会社を設立しようとされている方は、事業が成功するか?期待通りの収益を上げられるようになるか?色々と不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そんな方々に向けて、今回は実際に私達(Fintax税理士法人)がご紹介させていただいている会社設立時に利用できる補助金・助成金を御紹介いたします。
補助金や助成金といった単語を耳にしたことは多いと思いますが、実際に利用したことがある方は、限られているのではないでしょうか?
そもそも補助金や助成金とはなんなのか?その違いやおすすめの利用方法、利用時の注意点をご紹介しますので、皆さんが会社立上げ期から利用でき、ビジネスを加速させるのに利用できる制度を検討してみてください。
私たちFinTax税理士法人は税務や財務のサポートだけでなく皆さんのビジネスに合わせた補助金・助成金のご紹介、さらには利用に向けた具体的サポートをご提供しています。
ご相談自体は無料なので、もし補助金・助成金のご利用を検討の方は気軽にご相談いただければと思います。
助成金と補助金の違い
助成金・補助金とは?
補助金や助成金は、国や地方自治体などが、技術開発や事業の発展などを目的に、事業者などの特定の支出を補助する制度です。補助金・助成金はどちらも本来の意味は同じです。
どちらも基本的に返済の必要はありませんが、受給するための資格や審査の厳しさなどに違いがあります。
助成金とは
助成金とは、要件を満たすことで受給できる可能性が高いです。
例えば、厚生労働省の所管している「雇用調整助成金(平成26年4月現在)」という助成金を聞いたことはないでしょうか?一定の要件を満たした雇用維持や雇い入れなどに関して助成金が支給される制度です。
助成金は、1回あたりの助成金額が10万円から100万円前後が多くなっています。大きな金額ではありませんが、要件を満たして申請すれば受給できることが多いため、皆さんの使途にあった助成金を賢く使っていくことは企業の成長に効果的だと言えます。
補助金とは
補助金とは、国や自治体が特定の政策目的のために提供する資金のことで、基本的には返済は不要です。
融資のように担保や保証人を求められることもなく、金利もありません。
ただし、受給資格を得るには申請書類の提出や面接が必要であり、見慣れていない方には申請書類の要件や提出情報のまとめ方に苦労される方もいらっしゃるでしょう。また、申請件数が多い補助金の場合は、採択されるために十分な準備が必要になります。
一方で、中小企業(特にこれから会社設立を考えている事業者など)にとっては、補助金の活用が企業の競争力をつける大きな手段となることもあります。
補助金は種類が多いため、皆さんの事業に合わせた補助金を選択することが大切です。
助成金と補助金の違い
先ほどもご紹介した通り、補助金も助成金も、国や地方公共団体(民間の団体で行っているものもあります)から支給されるお金のことです。
受給には申請や審査が必要になり、補助金や助成金によっては一定の資格が必要な場合もあります。
「助成金」や「補助金」という言葉は必ずしも明確に区別されていません。例えば経済産業省が所管している「助成金」の中には、上記の「補助金」の色合いが強いものもあったりします。
大事なのは皆さんの事業成長に合わせた補助金・助成金を選ぶことです。各制度の内容をよく理解した上で、活用を検討いただけたらと思います。
会社設立時に使える補助金や助成金について詳しく知りたい方は、FinTax税理士法人にお問い合わせください。初回の相談を無料で対応させていただいています。
助成金・補助金を主催している4つの団体
日本には数多くの助成金や補助金があります。各補助金・助成金を提供しているのは主に次の4つになります。
- 経済産業省
- 厚生労働省
- 地方自治体
- 民間団体・企業
団体毎にサポート対象とする企業や事業の支援目的が異なります。まずは団体毎の特徴を把握していただければと思います。
助成金・補助金を主催している4つの団体
1.経済産業省
経済産業省では、小規模な事業者や起業家を支援する役割を担う中小企業庁を管轄しています。
そのため、経済産業省では、対国外の経済の円滑な発展およびエネルギーの安定供給などを主な目的とするだけでなく、経済産業の向上や発展に向けて中小企業や新規事業者を応援するために補助金を提供しています。
会社設立直後や設立して間もない会社であれば、創業期の企業や事業規模が小さい企業の成長を助ける目的で設置されているものが多い経済産業省の補助金の活用はおすすめです。
例えば事業再構築補助金という補助金を耳にしたことはありませんか?
この補助金では、次のような事業に補助金を提供しています。
重点分野14 情報通信産業
- 電気工事業で培ったノウハウを活かし、既存顧客(~300人規模の製造業)向けに、設計から、
ソフトウェア提供、保守までを一気通貫で行うデジタル化支援事業に進出し、事業再構築を図る。 - 事業実施にあたっては、本事業の担当スタッフがソフトウェアメーカへ出向し、持ち帰ったノウハウを通じて社内人材の育成を行う
情報通信産業の他にも自動車や蓄電池、住宅や建築物、食料・農林水産業など幅広い14の重点分野が定められています。
こうした領域は特に、高い目標に向けて次世代の事業育成を通した雇用創出に向けて、補助金の使い勝手をよくすることで事業者の成長を経済産業省が支援しようとしています。
このように1つの補助金にも様々な制度があります。皆さんの事業がどこに該当するか、よく確認してもらえればと思います。
なお、経済産業省が扱っているのは「補助金」で、「助成金」は提供していません。
助成金・補助金を主催している4つの団体
2.厚生労働省
厚生労働省は、福祉や労働・雇用などを管轄しており、職業能力の向上に資する補助金や雇用促進を目的とした助成金を提供しています。
高齢者や障害者の雇用時や、第二新卒者を雇った際に利用できるもの、雇用情勢が特に厳しい地域で、事業所を設置整備して労働者を雇い入れたときに利用できるものなど、雇用に関する助成金が多いことが特徴です。
例えば、「働き方改革推進支援助成金」があります。2020年4月1日から始まった、中小企業に、時間外労働の上限規制に対応するため、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する助成金です。
出典:令和5年度「働き方改革推進支援助成金」
支給対象となる取組み
いずれか1つ以上実施してください。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
※研修には、勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
企業が労務管理者や労働者に対する研修を行い、労働環境の改善を進めるための施策を支援する内容になっています。
会社設立時に限らず、従業員を雇う計画がある場合はひと通りチェックしてみてくださいね。
助成金・補助金を主催している4つの団体
3.地方自治体
自治体(各市区町村など)が提供している助成金や補助金もあります。
皆さんが事業を行っている地域の活性化を目的としており、その地域の特性やニーズに合わせた助成金や補助金が多くあります。
例えば、東京都では「飲食事業者向け経営基盤強化支援事業」を提供しています。これは都内で中小飲食時ぎょを提供する事業者の経営基盤の安定化や収益の確保に向けた取組に対し、専門家が店舗を訪問し、現地調査や助言等を実施するほか、経営基盤強化に資する取組経費の一部を助成しています。
専門家派遣実施コースと厨房機器等改修コースがあり、1つの例として専門家派遣実施コースをご紹介しますね。
この助成金では次の支援が提供されています。
(1) 飲食業界の専門家によるコンサルティングが無料(専門家派遣支援)
公社が派遣する専門家が、飲食店の課題解決のサポートをいたします。
※飲食事業以外については、ご相談いただけません。
(2) 飲食事業者の経営基盤強化に必要な経費の一部を助成(助成金支援)
助成限度額:200万円 助成率:2/3
東京”都”が提供している助成金の他に、東京都港区では、新たに開業する事業主の賃料補助や、中小企業向け補助金が提供されており、Webサイトの作成や販路拡大のための補助金が提供されています。
自治体によっては充実している補助金の種類に違いがあり、場合によっては補助金の設置そのものに注力していない場合も少なくありません。
また、コロナ禍や原油価格の高騰など、社会情勢によって、制度のあり方や金額が大きく変わることもあります。
その点も踏まえて、まずは皆さんが登記している、または登記する予定の都道府県・市区町村の補助金・助成金の内容をWEBサイトで確認してみてください。
助成金・補助金を主催している4つの団体
4.民間団体・企業
公益団体や民間企業などが、社会公益を目的として行っている助成金・補助金制度もあります。その種類や条件、支給額はその団体によりさまざまです。
たとえば、三菱UFJ技術育成財団には、新技術や新製品の開発に対する助成金制度があります。
事業の実現可能性や目新しさ、社会への貢献具合など審査内容は厳しいですが、最高300万円まで助成を受けることができます。
公益財団法人・助成財団センター(JFC)のWebサイトでは、さまざまな条件から助成金を主催している団体を検索することができます。会社の事業内容や状況と親和性が高い助成金・補助金を探すのにご活用ください。
会社設立時に利用できる補助金
会社設立時に使える補助金の例としては以下のような制度があります。
- 小規模事業者持続化補助金
- 大阪起業家グローイングアップ補助金(大阪府)
- さっぽろ新規創業促進補助金(北海道札幌市)
お住まいの都道府県が同様の事業をおこなっている可能性もありますので、上記の地域にお住まいでない方も参考までに以下の解説をご覧ください。
また後述する要件や補助限度額などにつきましては、2023年4月時点で各公式ページに掲載されている情報を基に記載しております。最新情報につきましては公式ページをご確認ください。
全てではありませんが、FinTax税理士法人でも皆様の事業にあった助成金・補助金のご紹介や申請のお手伝いをしております。
ご興味のある制度がある場合は、初回無料でお受けしていますので気軽にお問い合わせください。
会社設立時に利用できる補助金
1. 大阪起業家グローイングアップ補助金(大阪府)
大阪起業家グローイングアップ補助金は、大阪府が提供している補助金制度です。以下の条件を満たす事業者が、補助金交付の対象となります。
- ビジネスプランコンテストの優秀提案者(優勝および準優勝者)
- 大阪府内の事業者または大阪府内で起業しようとする者
創業や新事業の展開に限定した制度です。
- 補助事業は、創業や新事業の展開に要する事業です。
- 補助対象経費は、交付要綱の別表に掲げる創業等に要する経費です。
ただし、消費税及び地方消費税を除きます。 - 補助金の額は、補助対象経費の2分の1以内です。
- 補助金の限度額は100万円または50万円です。
- 補助金の交付を受けることができる期間は、1年間です。( ※令和3年度ビジネスプランコンテスト受賞者の場合は【補助金対象期間】令和4年4月1日から令和5年3月31日)
補助金の申請時にまだ創業していない場合は、交付決定日の翌日から起算して1年以内に創業する必要があります。
会社設立時に利用できる補助金
2. さっぽろ新規創業促進補助金(北海道札幌市)
さっぽろ新規創業促進補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響下における新たなチャレンジをおこなう創業者を後押しし、創業の裾野を広げるため、国の特定創業支援等事業を活用して登録免許税半額の軽減を受けた方に対し、市独自の支援として残りの半額相当額及び定款認証手数料相当額を補助する制度です。
この制度は次のすべての要件を満たす必要があります。
- 事業を営んでいない個人又は開業届の提出から5年を経過していない個人事業主で、新たに会社を設立した者であること。
※会社の設立の日から起算して90日以内、又は令和6年3月29日のいずれか早い日までにさっぽろ新規創業促進補助金の申請が必要になります。(補助の性質上、会社設立日(登記の完了日)から90日を超えての申請は受け付けいたしかねます。申請期限に十分ご留意ください。) - 札幌市より特定創業支援等事業の証明を受けた後、登録免許税を支払っていること。(※特定創業支援等事業の証明を受けて登録免許税の減免を受けるには、会社法上の発起人かつ会社の代表者となる必要があります。)
- 札幌市内に登記上の本店所在地を置いていること。
- 新たに設立した会社以外に、代表権を持つ会社がない。もしくは他の事業を営んでいないこと。
- 反社会的勢力及び反社会的勢力と関係のある者でないこと。
- 本市の市税を滞納していないこと、又は市税の徴収猶予の特例制度等の対象であること。
法人の登録免許税や定款認証手数料を補助する制度の為、この補助金単独での申請はできず、特定創業支援等事業をうけずに既に法人登記を終えている場合等は対象外となります。
補助額は次の通りです。
- 株式会社設立の場合:一律 175,000円
(登録免許税75,000円+定款認証手数料相当分100,000円) - 合名会社、合資会社、合同会社設立の場合:一律 80,000円
(登録免許税30,000円+定款認証手数料相当分50,000円)
会社設立時に利用できる助成金
会社設立時に使える助成金としては、東京都の「創業助成金」と福岡市の「ステップアップ助成事業」を御紹介します。
最近では、各自治体でもスタートアップ等の会社設立時の事業者に向けた助成事業も増えており、各自治体のホームページは確認するようにしてくださいね。
会社設立時に利用できる助成金
東京都|創業補助金
東京都の創業補助金は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が提供している助成金制度です。
一定の要件を満たす、都内で創業する予定の企業、あるいは創業5年未満の中小企業に向けて、従業員人件費・賃借料・広告費、創業初期に必要な経費の一部などを助成しています。
一定の要件には、1~19の創業支援事業を利用の上、いずれか1つを満たす必要があります。1~19からいくつか例を御紹介します。
- 事業計画作成(公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する、TOKYO創業ステーション「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内に証明を受けた方)
- 事業計画作成(公社(多摩支社)が実施する「多摩ものづくり創業プログラム」を受講後、同支社実施の「プランコンサルティング」による事業計画策定支援を終了し、過去3か年の期間内にその証明を受けた方)
- 事業評価(公社が実施する「事業可能性評価事業」において、当年度、またはその前年度以前の過去3か年度の期間内に「事業の可能性あり」と評価され、継続的支援を受けている方)
他、複数の創業支援事業が提供されています
そもそも会社設立までに必要な事業計画の作成や事業内容の評価・アドバイスを受けることができ、その内容をもとに助成金の付与対象かが決まります。
これから会社を設立する方は、事業計画の作成方法や自分で作った事業計画を見直す良い機会になると思います。まずは助成金を受けるかどうかは別にしても1度話を聞いてみても良いかもしれません。
補助額は次の通りです。
- 上限額300万円 下限額100万円
- 助成対象と認められる経費の2/3以内
- 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
会社設立時に利用できる助成金
福岡市|ステップアップ助成事業
福岡市ステップアップ助成事業は、成長性の高いビジネスプランを持つ創業者に対して、成長のための課題改善に要する資金として助成金を交付する事業です。
ビジネスプランの審査は、福岡を拠点に事業を展開している経営者で構成する福岡市創業者応援団(新ウィンドウで表示)が行い、「最優秀賞」「優秀賞」「奨励賞」を決定します。
この制度は次の要件を満たす方が対象者となります。
福岡市内に本社を置く創業して10年未満(平成25年8月1日以降に創業)の中小企業者等で、以下のいずれにも該当する方です。ただし、創業予定者や個人事業者、過去に実施されたステップアップ助成事業で補助金の交付を受けた方は対象になりません。
- 市税を滞納していない方
- 中小企業者にあっては,中小企業者以外の法人が当該中小企業の発行済株式の2分の1を超えて保有していない方
- 本社所在地が福岡市外の方にあっては,助成金交付の決定を受けた年度内に本社を福岡市内に移転する方
- 代表者及び役員が暴力団員ではないこと、又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有しない方
※中小企業者については、代表者が個人事業で同一事業を行っていた場合は、当該個人事業を開始した日をもって創業の日とします。
※ 応募にあたって、対象となる業種は特定していません。製造業やサービス業をはじめとする既存産業から、IT関連産業等の新産業まで幅広い業種の創業者の応募をお待ちしております。
申請自体は福岡市外に本社所在地があっても問題はないようです。ただし、助成金交付後に本社を福岡市内に移転する必要は覚えておいてくださいね。
福岡市創業者応援団によるビジネスプランの審査結果に応じて助成額が決まります。金額は次の通りです。
- 福岡市ステップアップ最優秀賞 1件 100万円(上限)
- 福岡市ステップアップ優秀賞 1件 70万円(上限)
- 福岡市ステップアップ奨励賞 1~3件 10万円(1社あたり上限)
会社設立時に利用できる助成金
新事業や事業開拓に関わる補助金
新しい事業や事業開拓で利用できる代表的な補助金は、以下のようなものです。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
各補助金の特徴と要件を理解して、皆さんが設立される事業で利用可能かチェックしてみましょう。
後述する制度の内容や要件については、2023年時点の公式ページにおける情報を基に記載しております。最新情報については、各ページをご覧ください。
会社設立時に利用できる助成金
1. 小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
申請には5つの分類があり、それぞれ補助率や補助上限が異なります。
類型 | 概要 |
---|---|
通常枠 | 小規模事業者自らが作成した経営計画に基づき、商工会・商工会議所の支援をうけながら行う販路開拓等の取組みを支援 |
【特別枠】賃金引上げ枠 | 販路開拓の取り組みに加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者 ※赤字事業者は、補助率 3/4に引上げ |
【特別枠】卒業枠 | 販路開拓の取り組みに加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する小規模事業者 |
【特別枠】後継者支援枠 | 販路開拓の取り組みに加え、アトツギ甲子園においてファイナリスト及び準ファイナリストに選ばれた小規模事業者 |
【特別枠】創業枠 | 産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受け、販路開拓に取り組む創業した小規模事業者 |
通常枠として上限50万円、補助率3分の2までの補助金が存在しています。2022年度はこれに加えて、特別枠として「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」が用意されました。要件を満たす事業者は、通常枠か特別枠のどちらか一方のみを申請できる仕組みです。
会社設立の際に強く関連しているのは、特別枠として設けられた「創業枠」です。過去3年のあいだに、認定市区町村などが実施する特定創業支援等事業による支援を受けて創業した小規模事業者が対象となります。
創業枠の補助上限は200万円で、通常枠よりも大きな補助を受けられます。補助対象となる経費は、「機械装置の購入費用」「新サービスの広報費」「新商品やシステムの開発費」などです。
インボイス特例等、通常枠・特別枠毎の補助率・補助上限額は次の通りです。
類型 | 通常枠 | 賃金 引上げ枠 | 卒業枠 | 後継者 支援枠 | 創業枠 |
---|---|---|---|---|---|
補助率 | 2/3 | 2/3 赤字事業者は3/4 | 2/3 | ||
補助上限 | 50万円 | 200万円 | |||
インボイス特定 | - | 50万円* *インボイス特例の要件を満たす場合は、上記補助上限額に50間年を上乗せ |
通常枠以外の特別枠には、追加申請要件があります。
「創業枠」では、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ過去3か年の間に開業した事業者であることが必要です。
申請を検討されている際には、事前に御確認ください。
会社設立時に利用できる助成金・補助金
2.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
先に御紹介した小規模事業者持続化補助金と同様に、小規模事業者がインボイス制度など新たな仕組みに対応することをサポートする目的で設立されました。ただ、ものづくり補助金のほうが補助額が高額に設定され、対象も中小企業にまで拡大されています。
「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」の3つの区分があり、一般型はさらに「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」と分類されています。会社設立時に利用しやすいのは、一般型の「通常枠」「デジタル枠」「グリーン枠」です。
- 通常枠:
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 - デジタル枠:
DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 - グリーン枠:
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
補助金の上限は、通常枠・デジタル枠・グリーン枠(エントリー類型)で100万〜1,250万円となっています。
ものづくり補助金についてはコチラで詳しく御紹介していますので、合わせて御確認ください。
会社設立時に利用できる助成金・補助金
3.事業再構築補助金
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。
そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援しています。
事業再構築補助金には「通常枠」「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」「緊急対策枠」があり、それぞれ要件が異なります。どの枠組みにも共通する必須要件は以下の通りです。
- 事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加の達成
出典:事業再構築補助金
補助額は従業員数に応じて変動する仕組みで、最も少ない20人以下の枠では100万~2,000万円となっています。
「通常枠」「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」「緊急対策枠」といった各枠組で申請の要件がある為、事業再構築補助金に興味がある方は詳細を御確認ください。
会社設立時に利用できる助成金・補助金
4.IT導入補助金
IT導入補助金とは、様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金です。
補助金申請者(中小企業・小規模事業者等)は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要となります。
従来の通常枠に追加する形で、「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠」が新設されました。さらにデジタル化基盤導入枠は、「デジタル化基盤導入類型」と「複数社連携IT導入類型」に分かれています。
いずれのタイプも、補助の対象となるのはソフトウェア購入費やクラウド利用料など、ITツールの導入にかかった費用です。
補助額はそれぞれ、以下のようになっています。
- 通常枠:A類型(5万~150万円)、B類型(150万~450万円)
- セキュリティ対策推進枠:5万~100万円
- デジタル化基盤導入類型:~350万円
- 複数社連携IT導入類型:~350万円 ※デジタル化基盤導入類型の要件に属する経費の場合
出典:IT導入補助金
皆さんが設立されようとしている会社や事業にあわせて、どの補助金・助成金がよいのか?申請はしてみたいけど時間が取れないという方は、FinTax税理士法人にお問い合わせください。
皆さんに合わせた補助金や助成金の検討、申請手続きについて初回無料で御相談にのらせていただいています。
雇用や教育に利用できる助成金
事業主向けの雇用や教育に関わる助成金についても御紹介させていただきますね。
ここでは厚生労働省が主催する代表的な助成金について御紹介します。公募期間や要件など、最新情報は各助成金のホームページを確認することも忘れないでくださいね。
雇用や教育に利用できる助成金
1. 人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して助成します。魅力ある雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的としています。
様々なコースがあり「雇用管理制度助成コース」や「介護福祉機器助成コース」「中小企業団体助成コース」等、目的に応じたコースを選択する必要があります。
例えば、良質なテレワークを制度として導入し実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主に対して助成する「テレワークコース」では次の要件・助成金額となっています。
【主な要件】
機器等導入助成
- 評価期間(機器等導入助成)において、1回以上、テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施等
目標達成助成
- 評価時離職率が、計画時離職率以下であること 等
【助成金額】
機器等導入助成:1企業あたり、支給対象となる経費の30%
目標達成助成:企業あたり、支給対象となる経費の20% <賃金要件を満たす場合35%>
雇用や教育に利用できる助成金
2. キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。
「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2つに分かれています。
正社員化支援 | 正社員化コース | 有期雇用労働者等を正社員化 |
障碍者正社員化コース | 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換 | |
処遇改善 支援 | 賃金規定等改定コース | 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額 |
賃金規定等共通化コース | 有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を 新たに規定・適用 | |
賞与・退職金制度導入コース | 有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給または積立てを実施 | |
短時間労働者労働時間延長コース | 有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、社会保険を適用 | |
社会保険適用時処遇改善コース | 有期雇用労働者等に新たに社会保険を適用させるとともに、労働者の収入を増加させる |
出典:キャリアアップ助成金
支給額はコースによって異なりますが、たとえば正社員化コースでは、中小企業で有期雇用労働者から正規雇用労働者等への転換があった場合、対象労働者1人あたり57万円が支給されます。
雇用や教育に利用できる助成金
3. トライアル雇用助成金
職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者(※)等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するものす。
それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。
受給するためには、対象労働者がハローワーク等を利用しているにもかかわらず安定した職業に就いていないことなど、いくつかの要件を満たさなければいけません。
支給額は求職者1人あたり最大4万円となっています。
会社設立時に助成金・補助金を利用するメリット
補助金や助成金を利用するメリットは、主に以下の2つです。
- 返済が不要である
- 信用度が上がる可能性がある
どちらも設立したばかりの会社にとっては重要な要素です。具体的にご説明しますね!
会社設立時に助成金・補助金を利用するメリット
返済が不要
会社設立時に利用する補助金・助成金の大きなメリットとして、借入ではないので返済する必要がない点は重要でしょう。
補助金も助成金も、会社と労働者が支払う雇用保険料や国税地方税などが元です。要件に該当している会社や個人は、受け取る権利を最初から持っており、受取った補助金や助成金を返済する義務がないのです。
補助金・助成金と名のつくものは基本的にこの仕組みで成り立っています。会社設立時は集客や売掛金の回収までの運転資金等、手元で使えるキャッシュは非常に大切です。
返済の必要がない助成金・補助金は会社設立時の大きな助けとなる場合が多く、多くの事業を始める方に利用を検討いただきたいと考えています。
会社設立時に助成金・補助金を利用するメリット
信用度が上がる可能性がある
補助金や助成金を受け取ると、社外からの信用度が上がる可能性もあります。
助成金や補助金は受給までの審査の過程で、事業運営主体者の過去の経験や実績、今後の事業計画を助成金・補助金の主催者に提出します。
その審査を経て、助成金や補助金の受給が決定したということは、国や地方公共機関等の主催団体から事業内容や事業の将来性について一定の信用を得たことになります。
こうした信用を得ることは、他の民間金融機関などとの付き合いにおいて効果を発揮します。
今後、更に事業を成長させていくにあたり、より大きなまとまった資金が必要になった時、こうした助成金や補助金の需給実績があることが、次の融資を受けやすくなる可能性を高めてくれます。
助成金・補助金の申請は情報収集から始めよう
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)や事業承継・引継ぎ補助金など、会社設立時に活用できる助成金や補助金もさまざまです。それぞれ対象者や内容、申請方法が異なりますので、ひとつひとつ細かく確認する必要があります。
しかし、数も多いですので、自社に合った助成金や補助金をピンポイントで見つけるのはなかなか厳しいかもしれません。助成金や補助金を活用したいとお考えなら、公的な窓口のほか、支援機関や窓口に相談するのが近道です。
また弊社FinTax税理士法人では、本記事でも御紹介した助成金・補助金の一部について詳しく御紹介することができます。皆さんの事業に合わせて利用しやすい助成金・補助金を知りたい方は、気軽に御相談ください。
ここに注意!助成金・補助金の受取り
まとめ|会社設立時の助成金・補助金の金額・条件・申請方法
会社設立時に資金調達が大きな課題となる場面が多いです。このような状況で使える補助金や助成金を御紹介してきました。
そもそも「補助金と助成金の違い」は、補助金は事前に予算や採択件数が決まっていて審査が厳しいです。一方で助成金は、一定の条件を満たせば基本的には給付されます。
具体的な助成金・補助金や申請要件を御紹介しましたが、定期的に募集が開始/終了したり、募集要件が変更されることがあります。
実際に応募する際には、応募要件だけでなく、必要な書類をそろえる為の準備期間も含めて準備ができるか事前に確認するようにしてください。
補助金や助成金をフル活用したいが、会社設立前後は事業に専念したいので手続きはプロに任せたいという方は、FinTax税理士法人人までお問い合わせください。初回無料で皆様の相談を承っております。